地球探検 アルゼンチン共和国 高山尚之隊員 1
第1回 私の暮らす町・オベラ
「オラー、なお! コモ エスタ?」
大きな身振りにとびっきりの笑顔。ここアルゼンチンでも、他のスペイン語圏同様、会えばまずこのあいさつから。人なつっこく、思いやりのある人たちに囲まれながら、はや半年―。独立行政法人国際協力機構(JICA)の日系社会シニア・ボランティアとして、日系人社会の日本語教育支援のため活動する毎日である。
南米アルゼンチン―。最短コースでも24時間以上。地球の反対側。北の空にある太陽。時差は12時間。半そで半ズボンで「明けましておめでとう!」個人的には、雪・除夜の鐘の『ゴ~~ン』の方がしっくりくる。やっぱり日本人・・・?
首都ブエノスアイレスは、人口約280万人の大都市。中心部の建物、行き交う人々を見ると「南米のパリ」と呼ばれるのも納得。
一方、ブラジル・パラグアイとの国境に接し、世界遺産「イグアスの滝」があるミシオネス州。私の暮らす町オベラは、人口約9万の地方の町。一見、日本のそれと変わらないが、日本では室内用観葉植物が、街路樹として特大サイズで並び、公園や畑では、1m級の大トカゲもひょっこり。(でも人には危害を加えないので大丈夫!)野鳥は鮮やかな原色の羽を広げ、「ピー、ピー」、甲高い鳴き声が、町いっぱいに響きわたる。そして一歩郊外に出れば、そこはまさにジャングル。赤土のミシオネス―。大地をおおう、鉄分の多いまっ赤な土と、手つかずに残る熱帯性植物の濃い緑が、鮮やかなコントラストをなす。亜熱帯性の気候をいかした林業、特産品のマテ茶栽培が盛んな土地である。
赴任当初、スーパーで買い物をする人たちを見ていて、「あれ、ここはどこだっけ?」一瞬、自分がどの国に来たのかわからなくなった。背格好、顔立ち、肌や髪・瞳の色は、十人十色。「移民の国」としての歴史を持ち、混血も進むアルゼンチン。ここオベラの人たちのルーツも、スペイン・イタリアを中心に、日本も含め20か国近く。日常会話はみなスペイン語。しかし、多くの人が祖先の言葉や文化を大切にしている。日系人が「日本語や日本文化」を大切にしているように・・・。
オベラ郊外の風景。中心部から車で3分も走れば、急斜面の多い、むき出しの道路があちこちに見られる。まさにジャングル。
(日系社会シニア・ボランティア 日本語教育 高山 尚之)