地球探検 アルゼンチン共和国 高山尚之隊員 2
第2回 JICAボランティアとしての日々 -1-
「なお先生、そこにある、ごはんを何とかするやつ・・・えーとーー、日本語で・・・、しゃ・・、しゃ・・、あっ、しゃもじだ。しゃもじ、取ってください!」真っ白なご飯の上に、おいしそうなカレー、差し入れとして、地元婦人会お手製の『らっきょう』も登場。キャンプの定番メニューで「いただきま~す!」その他には、焼きそば、チャーハン、ホットケーキ。朝のラジオ体操、キャンプファイヤー、そして初めての竹とんぼ作り、・・・。食事もプログラムも、日本式。州内の日本語学校が集まる合同キャンプ。年一回の一大イベント。普段なかなか会えない日系の仲間と親交を深める場でもある。2泊3日、5歳~18歳位までの子どもたち+保護者で約80名。班担当の先生として参加。キャンプの他、合同運動会、日本語スピーチコンテスト等、州内合同行事に対する支援も、ボランティアとしての活動の1つである。
大きな希望を胸に抱き、南米への移住が始まったのが、今から約100年前。ここミシオネス州に日本人が入植して約80年。福島・宮城・山形の3県ほどのエリアに、日系日本語学校が6校。子どもたちは、平日は地元の学校。もちろん、スペイン語。日本で生まれた人を「1世(いっせい)」と呼ぶ。日本語学校の子どもたちは日系3世~4世。両親とも日系2世の家庭ですら、「家での会話はスペイン語」という家がほとんど。日常生活で、日本語に触れる機会はごくわずかしかない。
6校とも授業は週一回土曜日だけ。先生不足から、複式授業が主で、効果的な指導法についてなど、共通の悩みを抱える。加えて、現在、一世の先生はごくわずかで、ほとんどが二世。日本語とスペイン語のバイリンガルだが、どうしても日本語が苦手。音声指導などに課題が残る。月一回を目安に定期的に巡回指導。「子どもや孫たちが日本語を学んでいくことで、ここにはずっと『日本』が残っていくんですよ。大切にしていきたいですねえ」と、次世代への日本語継承のために、地道な努力を続ける先生たち。私は、頑張る先生たちの応援団。遠い学校では、ローカルバスで往復8時間。体力勝負でもある。今日の巡回先は250キロ先。早朝三時半発のバスで出発である―。
キャンプの昼食は、定番のカレーライス。ルーは、日本円で1箱1000円程度。カレーは、こちらでは高級料理だ。
(日系社会シニア・ボランティア 日本語教育 高山 尚之)