地球探検 アルゼンチン共和国 高山尚之隊員 3
第3回 JICAボランティアとしての日々 -2-
「♪かーごめ、かごめ…、後ろの正面、だ~あれ♪」元気に遊ぶ年少クラスの声が、心地よく響くオベラ日本語学校。毎週土曜日、5歳から18歳までの24人が通って来る。
配属先の同校には、日本語教授法を身につけた地元在住の先生がいない。学校存続のために、指導を頼んでいる先生は、120キロ離れた町に住んでおり、先日60歳の誕生日を迎えた。往復3時間の通勤には、運転するご主人の協力もいただいている。ただ、いつまでも献身的な応援に、ずっと甘えてばかりはいられない・・・。
ここに限らず、日本語指導法の難しさや日本語教師に対する待遇面の課題(安い給料)が重なって、アルゼンチン全体でも慢性的な教師不足が続く。そんな中、幸いにもオベラの町には、日系人の教師希望者が現在4名。仕事を持っている関係上、週3回、朝7時30分から2時間、我が家にて勉強会。眠い目をこすりながら、1年後の独り立ちを目指し、目下奮闘中!
土曜日の5時間の授業では、私も子どもたちの前に立つ。この町の日系コミュニティは、およそ100人だが、日本語を話す人はごくわずか。子どもへの日本語指導の重要性を認識してもらうために、初めての試みとして、日系成人向け日本語教室を週一回開催。日本語学校に対し、様々な角度から支援。こうした指導の事前準備で、ほとんどの時間が過ぎていく。
国内に派遣されている、日本語教育支援の日系社会シニア・ボランティアは、私を含め3名。期待されている基本的な活動内容は、「日本語学校の支援及び現地教師の育成・指導」。過日、夏休みを利用した5日間の「アルゼンチン全国日本語教師研修大会」にも講師として参加した。
3月。現地校では、まるまる3か月間の夏休みが終わり、新年度がスタート。一方、多くの日本語学校も同じだが、2月に始業式を行う学校もある。12月初旬まで続くが、中には年末まで授業を行うところもある。
古寺や茶室をイメージさせる日本人会館の前には、赤い鳥居。日本の雰囲気に包まれた中、今日もまた「♪ラジオ体操、第一、ヨ~イ・・・♪」。お馴染みの音楽による朝の体操で、授業の一日が始まった。
オベラには、学校としての建物はない。週1回、日本人会館を借りて授業。休み時間に小学校2年生の仲良し2人をパチリ!
(日系社会シニア・ボランティア 日本語教育 高山 尚之)