地球探検 カンボジア王国 佐藤京子隊員 1
レポート1
初めまして。2011年の3月にカンボジアへ派遣されました佐藤京子と申します。
2011年3月11日、カンボジアへ旅立つ数日前、日本では東日本大震災がおこりました。新幹線、電車、バスはすべて止まり、私は空港へ行くことができなくなってしまいました。出発の4日前、バスが復旧し、カンボジアへ旅立ちました。日本が大変な時に、カンボジアへボランティアをしに行くことに迷いもありましたが、私はカンボジアへ行くことに決めました。 カンボジアに来て、もうすぐ2年、帰国が近づいてきました。カンボジアについて、カンボジアでの活動についてみなさんにお伝えします。
カンボジアについて
正式国名:カンボジア王国(Kingdom of Cambodia) 首都:プノンペン 面積:181,035平方キロメートル 人口:14.7百万人(2012年) 公用語:クメール語 民族構成:クメール人90パーセント、ベトナム人5パーセント、華人1パーセント、その他4パーセント 宗教:仏教徒(上座部仏教)が約95パーセント。その他、イスラム教、カトリックなど 通貨:リエル(Riel / KHRR) 国旗の意味:世界遺産アンコールワットが描かれています。 白→仏教 /青→王室/赤→国民(忠誠心)
カンボジアと聞いて、どんなイメージを持ちますか。「内戦」「地雷」「貧困」など、マイナスのイメージが多くあるのではないでしょうか。過去のカンボジアは、確かにそうだったかもしれません。でも今のカンボジアは、いろいろな問題の解決に向けて発展を続けている国です。世界遺産のアンコールワット、プリアヴィヘア遺跡は素晴らしく、国外からたくさんの観光客が訪れています。
任地について
私の任地は、カンボジアの西北、バンテアイミエンチェイ州という所です。首都からは約360km、タイの国境までは約45kmです。アンコールワットのあるシェムリアップ州までは約120kmです。バンテアイミエンチェイ州に住む外国人は少なく、カンボジアの雄大な景色が広がるのんびりとした街です。タイが近いので、タイ製品が多く売っていて、タイの人々もたくさん住んでいます。また、日本の援助で作られた病院や、貯水池があります。バンテアイミエンチェイの人々は親切で、よく挨拶をしてくれます。疲れていても、寂しいときでも、笑顔で挨拶してくれるカンボジアの人々に会うと、元気になります。
山の上から見たバンテアイミエンチェイの町。 奥に写っているのがミエンチェイ大学です。
バンテアイミエンチェイ州のシンボルの像です。
ボランティア活動について
大学で日本語を教えています。先生は私一人です。月曜日から金曜日まで、毎日6時間日本語を教えています。日本語を勉強している学生は、大学生が中心ですが、働いている人も勉強に来ていています。また、忙しくて勉強に来られない人のために、ラジオ日本語講座の放送を行いました。市場の人々などが簡単な日本語で挨拶をしてくれるようになりました。 日本や日本語に興味を持ってもらうために、折り紙、習字、合気道、少林寺拳法など、日本文化の紹介もしています。大学では日本語の他に英語、韓国語、中国語、タイ語を勉強することもでき、大学のお祭りでは、各国の伝統的な衣装のファッションショーを行いました。日本からは、学生たちが浴衣を着て参加しました。
配属先で行われたファッションショーです。 真ん中の浴衣の2人が日本語コースからの参加者です。
ラジオ日本語講座の収録の様子です。
日本語を勉強する学生
「日本語ってどんな言葉だろう?」と興味を持って勉強してくれています。日本語はひらがな、カタカナ、漢字と覚えなければならない文字がたくさんあるので、よく「難しい、できない」と言われますが、発音が他の外国語に比べて簡単なので、文字を覚えた学生はどんどん上手になっていきます。「日本語能力試験」というテストがあり、このテストは、日本語がどのくらいわかるかをチェックするためのものです。このテストに合格すると、就職するときに役に立つので、学生たちはがんばって勉強しています。
日本語の授業中の学生です。いろいろな学部の学生が集まっています。
習字に挑戦!うまく書けるかな?
カンボジアと日本
東日本大震災後、カンボジアから日本へ、多くのお金が送られました。みなさん知っていましたか。日本より貧しいと言われているはずのカンボジアから「日本のために」です。タクシーの運転手さん、市場のおばさん、そんな人々からの温かい気持ちです。たくさんの励ましのメッセージも、翻訳され、日本へ送られました。「カンボジアは貧しいから日本が助けている」と考えるのは、正しいですか。世界の国は共に助け合わなければ生きていけないのです。「共存共栄」の気持ちを忘れず、カンボジアも日本も、いつも笑顔でいられるように今後も手を取り合っていって欲しいと思います。
震災のあと、日本への応援メッセージを書いてくれました。
メッセージ
「途上国でボランティアする」ことは、悩んで泣いて考えて乗り越えることでした。その分、楽しんで笑って知って成長できることでもありました。これから青年海外協力隊に参加してみようか迷っているみなさん、是非参加して、その国を知り、日本についても考えてみてください。2年間のボランティア活動は、長いようでとても短いです。現地の人々との触れあい、大切な仲間との出会い、新たな体験、異文化理解、いろいろなことが待っています。「世界も、自分も、変えるシゴト」 JICAボランティアとしての一歩を踏み出してください。
カンボジア王国 佐藤京子 平成22年度4次隊 職種:日本語教師 配属先:ミエンチェイ大学