地球探検 モンゴル国 佐藤知史隊員 2
モンゴル便り
ダルハン第15番学校
本号では、前号でお伝えできなかった職場の様子をお伝えします。
私の職場は、モンゴルの首都ウランバートルから北へ220キロ行ったところにあるダルハン・オール県にあります。その名もダルハン第15番学校。生徒数は1000人を超え職員も100人近くいます。といってもこの学校、小学生から高校生までがひとつの学び舎に通うという学校。さらに、午前の部と午後の部に分かれる2部制の学校です。というのも、全国的に生徒数に対する学校の数が不足しており奇数学年は午前、偶数学年は午後というように(各学校で異なりますが)分かれて授業に臨みます。しかし、その半日に7時間の授業があります。1コマ40分、休み時間5分という超過密な時間割をこなします。
ダルハン第15番学校
本校では小学部が1~5年、中学部は7~9年、高等部は10~11年生が在籍。一応11年制の学校ですが、6年生が飛び級なので実質10年制です。現在モンゴルでは12年制へ移行する移行期にあります。こうしたひずみは、数多くの学校で見られます。
ロシアの影響が残る学校
生徒たちは学校やクラスごとに決められた制服を着て、小学生はリュックを、中学生以上は自由な鞄で登校しています。日本では詰め襟、セーラー服が定番ですが、最近では減ってきているものの、モンゴルでは小学生から高校生までスーツ、メイド服が定番。これは、ロシアの影響のようです。モンゴルは社会主義時代に、ロシアの社会システムに則って社会が動いていました。そのため学校の慣習の多くにもロシアの影響が色濃く残っています。現在でもロシア共産圏ではこのような制服が見られるようです。しかし最たるは、ロシア語の授業があることでしょうか。(英語もあります。)
制服 小中高生
理科の授業
私の担当は中高等部の理科。主に化学の先生と一緒に活動をしていて、化学教官室が私の仕事場となっています。教室は、物理、化学、生物、地理学と専門教室があるものの実験台や水道の設備は無く普通の教室に備品棚があるといったもの。幸い、化学教室はトイレに近いので水の確保に助かっています。
さて、生徒は時間になると教室へやってきます。小学部以外は生徒が教室移動するスタイルです。休み時間5分ですが、結構しっかり集まってきます。授業のはじめは挨拶で始まります。ちょうど日本の英語の授業のような感じといえば想像できるでしょうか。授業は演習がほとんどを占めます。ひたすら問題を解く時間もあり、さながら訓練を感じさせます。一生懸命な子、ほかの子のを写す子、集中できていない子など、取り組む様子は日本と大差はありません。しかし、先生のことは一目置きしっかりということを聞く姿勢はたいしたものだと感じます。(目を離すとだめなんですが…。)
実験 演習問題
さて、そんな演習中心の授業を変え、思考力をつける授業を展開したいという国の方針があり、今回はその要請に従って、私はこの15番学校で活動しています。実験を取り入れた授業をこれまでにもいろいろ行ってきました。酸・アルカリと指示薬、塩の加水分解、電気分解、溶解度、重曹の熱分解(カルメ焼き)、石けん作り、雲の発生、体積の変化と質量など日本では定番ですが、おおむね好評を得ています。言葉の壁もあり、思うように子供の考えを引き出せないでいますが、まずは実験を授業でやることを定着させるために、活動を展開しています。
教室の掃除
さて、7時間目が終わると清掃です。当番の子のみが残り、教室を掃除していきます。床もきちんとぞうきんがけしていきます。しかも洗剤で毎日磨いていきます。労働に対する姿勢はすばらしいと感じています。このような感じで毎日が過ぎていきます。ちなみに9月1日が始業。4学期制。学期間には1週間程度の休業日があり、4学期修了後の夏の休みは6月から8月いっぱいまでの3ヶ月間。つかの間の緑を楽しみます。
床のぞうきんがけ
次回は最終号。モンゴル滞在1年9ヶ月を振り返ります。
氏名 佐藤知史、派遣国 モンゴル、隊次 平成22年度1次隊、配属先 ダルハン第15番学校、職種 理数科教師