地球探検 パプアニューギニア独立国 泉田裕章隊員 16
レポート16
16. 異文化体験
私は今、青年海外協力隊の理数科教師として、パプアニューギニアのマヌス州、州都ローレンガウのマヌス・セカンダリー・スクールに配属されています。 今回は、「異文化体験」についての話をしようと思います。 私は先日、日本の友達に「君が大切にしているものは何?」と聞きました。その答えは、「今○○がやりたいからそれをやるスキルと時間と環境。あ、今ちょっと忙しいから温泉でも行ってのんびりする時間が欲しい。好きな食べ物を好きなだけ食べたい。他に大切なものは家族、友達、本、新しい車とパソコンと、、、」と、ほとんど自分と同じような答えでした。みなさんはどうですか? では、なぜ学校に行って勉強していますか?という質問はどうでしょうか。行きたい高校や大学があるから?やりたい仕事をするために?お金を稼ぎたいから?親に大学に行けと言われたから?学校に行かないと仕事がないから?なんとなく自然の流れで?きっと、このような答えではないでしょうか。 それでは、パプア人に聞きました。なぜ勉強しているの?私は○○の仕事がしたいし、今はその勉強できる環境がある。そして仕事をしたら親やワントク(同じ言語を話す集団、地元の人々)を世話したりお金を仕送りをすることができる。 この答えを聞いて、私はハッとしました。私は、今まで一人で勝手に育って、学校に通っていたのではない、と。家族や親戚の金銭的、社会的な支えがあってこそでした。今まで私は、学べる環境、働く環境が無いということを経験してきませんでした。自分が通える学校があって、卒業して仕事に就いて、お金を稼いで。でもそれはあくまで自分のためであって、親のため、親戚のためではない、と。もちろん、家族のために働いてる、という人もたくさんいると思います。 パプア人に聞きました、「あなたが大切にしているものは何ですか」と。答えは単純、「家族と兄弟」。当たり前のように大切と思える家族や兄弟は、もちろん大切なものです。しかしランキングは「上位のほう」であって、パプア人のように断トツ1位ではなかった私にとって、胸が痛くなりました。 「パプア人が大切にしていること」と、「日本人が大切にしていること」を私なりに考えてみました。皆さんは、何を大切にしていますか?なぜ学校に通い、勉強をしていますか? パプア人が大切にしていること。 日本人が大切にしていること。 (写真1) 教室が暗くても、机が無くても、いすが無くても、ここには勉強する環境があります。自分の将来のため、もちろん学校に通わせてくれる家族のため、一生懸命学ぶ姿がここにあります。 (写真2) 子どもは4人、5人は当たり前。親兄弟や親戚も一緒に住む大家族のかたち。自立してそれぞれの家族を作っていく日本のスタイルとは異なり、どこか暖かさを感じます。家族という守るべき一番小さなコミュニティ、これがパプア人の大切にするものの根底にあります。 |
パプアニューギニア独立国 泉田裕章 平成23年度3次隊 職種:理数科教師 配属先:マヌス・セカンダリー・スクール