地球探検 パプアニューギニア独立国 泉田裕章隊員 19
レポート19
19. 郡山ザベリオ学園中学校からの寄付 私は今、青年海外協力隊の理数科教師として、パプアニューギニアのマヌス州、州都ローレンガウのマヌス・セカンダリー・スクールに配属されています。 今回は、ザベリオ学園の全校生徒による募金活動と、生徒会と有志の学園バザーでの募金活動により、約10万円の募金を頂くことができました。合わせて、昨年から続く文通の返事や、文房具なども受け取ることができました。
今回の募金はロパハン村とその小学校に使うことに決めたのですが、実は、今回の募金の背景には、ロパハン村の友人との関わりがありました。ロパハン村はマヌス島の中心地区からモーターボートで約40分、15kmほど離れた海沿いに位置しています。ロパハン村の友人宅に遊びに行った際に、ロパハン村の現状を聞きました。生活環境や労働環境のこと、学校施設のことなど、村民が問題だと思うことをたくさん聞きました。 今回の募金が決まってから再度、村の人たちと集まって話し合いを行いました。学校の周りを囲うセキュリティーフェンスが欲しい、電気がないのでソーラーパネルを設置して教室にライトが欲しい、などの多くの案が出されました。結果的に、乾季の際の水不足が深刻で雨水タンクの数が足りないこと、図書館の本が一冊もないことから、それらを改善することに寄付を使うことになりました。 雨水タンクを買うことに決まり、マヌス島にあるホームセンターを見て回りました。するとタンクが1つで約14万円もすることが分かりました。それで小さなロパハン村ではタンクが買えず、不足していたのかと理解することができました。(ちなみに、普通の教員の給料は1ヶ月約6万円、スーパーのレジや警備員の時給は約100円です。)
タンクの周りには、パピンドーグループからの寄付、スタンリーとマオマオからの個人的な寄付、そして日本の、福島県のザベリオ中学校からの寄付とペイントすることが決まりました。特に、今回の募金にはザベリオ学園の生徒会や有志メンバーが中心に活動を行ってくれたこともあり、その生徒の名前もペイントすることにしました。
ペイントが終わり、ロパハン村まで運搬します。タウン地区からモーターボートで約40分のロパハン村へ、直径150cm高さ180cmのタンクを運びます…。ボートで運ぶらしいです。ボートで、です(驚)。まったくイメージがつかなかったのですが、実際にタンクをボートに乗せてみると納得、これならボートでも運べるなと(笑)。このタンクは比較的小さめのタンクらしいのですが、これより大きいサイズのタンクもすべてボートで運ぶようです。
ロパハン村に到着すると、子どもたちや年配の方々も砂浜で歓迎のガラムート(木をくりぬいて作った太鼓)を演奏してくれました。みんなでタンクを下ろして学校まで運び、中央教室の脇に設置しました。土台は完成しており、これから屋根からの雨水を集めるパイプを作ります。この時にセレモニーの日程が決まりました。
12月6日(金曜日)、雨水タンクの開錠式と図書館の本の寄贈セレモニーが行われました。図書館の本は、友人の福島県浪江町出身の日本画家、舛田玲香さんに日本から65冊、持ってきてもらいました。すべての本にフィルムカバーを施し、裏側には「Donated by Xaverio Junior High School, Fukushima Japan. Hiro, Haru, Reika, 6th December 2013」と書きました。 セレモニーは、現地の歌や踊り(シンシン)から始まり、村長、校長などが挨拶をし、私もこの寄付の経緯を話しました。そして雨水タンクの前でテープカットをしました。 図書館の本は、SF小説から辞書まで幅広いジャンルに加えて、パプアニューギニアのJICAボランティアが作った数学の問題集も10冊、寄贈しました。 セレモニーの中で、私たちは日本文化紹介として折り紙を紹介しました。小箱、と紙飛行機を紹介したのですが、山折りや谷折りをして折り目を合わせて折ることなど、参加した子どもたちにとっては初めてのことで、この細かな作業は少し難しそうでした。
最後に、ザベリオ中学校のみなさん、生徒会長の浅野雄大くん、パピンドーグループ、スタンリー、マオマオ、舛田玲香さんに、とても感謝しています。ほんとうに多くの人の理解と協力によってこの寄贈をすることができました。ロパハン村の人たちの笑顔、ありがとうの言葉、ボランティアとしてマヌス島での最後の思い出になりました。本当に、ありがとうございました。 |
パプアニューギニア独立国 泉田裕章 平成23年度3次隊 職種:理数科教師 配属先:マヌス・セカンダリー・スクール