地球探検 パプアニューギニア独立国 泉田裕章隊員 2
レポート2
私は今、青年海外協力隊の理数科教師としてパプアニューギニアのマヌス州、州都ローレンガウのマヌス・セカンダリー・スクールに配属されています。 今回は、「ワントク」システムについての話をしようと思います。 ワントク(Wantok)とは英語のOne Talkからきたピジン語で、「同じ言語を話す集団」という意味を表しています。パプアニューギニアは800を超える言語があると言われており、それぞれの島や村、地元(プレス:Ples)ごとにその地域の言葉(トクプレス:Tokples)が話されています。日本でいう「訛(なま)り」、のように発音がピジン語や英語に似ているものもありますが、ほとんどのトクプレスは、その地元に住む人以外は理解することが困難です。ちなみに私の任地、東京都と面積がほとんど同じであるマヌス州だけでも、30言語あると言われています。 ここで、日本語の「おはよう」のトクプレスをいくつか紹介します。 ・英語 Morning(モーニング) ・ピジン語 Monin(モニン) ・マヌス島のある地域(1) Mapin(マピン) ・マヌス島のある地域(2) Paliveng(パリベン) ・マヌス島のある地域(3) Chakarun(チャカルン) 同じ言語を話す集団、つまり地元だけで話されている言語なので、 「ワントク」=「地元の人」=「友達や仲間」 という認識や、「同じ国籍や人種」といった意味合いもあります。 例えば、マヌス島及びその周辺には32の島と192の村があります。これは32のワントクが存在するとみなすことも出来ますし、192のワントクが存在するとみなすことも出来ます。同様に、マヌス州出身という1つのワントクと言うこともでき、パプア人という大きなワントクだと見ることもできます。 「ワントク」システムの良いところは、「助け合い」をしているところです。 例えば、仕事がなくてお金や食べ物に困っているワントクがいたら、食料やお金をくれたり、家に招いてご飯を一緒に食べたり、一緒に住んだりします。農作業の手伝いや子守りなど、困っている人がいたら助ける精神、それが「ワントク」システムです。 日本人、福島県民、という「ワントク」から、世界に広がる「ワントク」へ! ワントクシステムという助け合いの精神が世界に広がれば、困っている人が減り、きっとみんな幸せになれるでしょうね。 PMV(Public Motor Vehicle)に乗ってそれぞれのプレスに帰ります。 多い時では20人以上の人が、荷台に乗り込みます。 写真はヒュンダイのPMVですが、日本車がとても多く走っています。 マヌス島の人達はとても穏やかでおしゃべりが好きです。 そして、カメラを向けるといつも笑顔。 子ども達は近所の海で遊びます。 魚釣りをしたり、木や発泡スチロールの板でサーフィンをしたり、 笑い声がいつも響いています。 |
パプアニューギニア独立国 泉田裕章 平成23年度3次隊 職種:理数科教師 配属先:マヌス・セカンダリー・スクール