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地球探検 パプアニューギニア独立国 泉田裕章隊員 20

印刷用ページを表示する 掲載日:2013年12月1日更新

 地球探検 

レポート20

  20. ボランティア活動を終えて

 私は今、青年海外協力隊の理数科教師として、パプアニューギニアのマヌス州、州都ローレンガウのマヌス・セカンダリー・スクールに配属されています。今回は、「2年間の活動報告」をしようと思います。

1 配属先での活動

数学の授業
 1年目はGrade9(Grade9は日本の中学3年、Grade 10は高校1年、Grade 11は高校2年、Grade 12は高校3年です)を週6コマ、2年目もGrade9を週18コマ担当しました。特に工夫した点といえば、色チョークを使う、文章による説明を減らし、例題や演習の時間を多く取る、ということで日本での授業とほとんど同じです。ただ教科書や問題集が十分にないので、かといってコピー機を毎回使ってプリントを配ることができる環境でもないので、効果的かつ効率的な問題を選び、毎時間の授業できちんと完結させることが大事なことでした。

パソコンの授業
 1年目は、Grade11を週6コマ、2年目も同様にGrade11を週6コマ担当しました。1年目は1台のパソコンを3~4人で使っていたのですが、2年目はパソコン室の改善とサーバー機の導入により、一人1台のパソコンを使うことができる環境を作ることができました。また、百科事典のソフトウエアにより、理科や社会の授業でもパソコンを使うことができるようになりました。また、パワーポイントを使って職員会議や数学のプロジェクトの発表をすることもありました。しかし、電気トラブルによる工事がなかなか終わらなかっため、1年目に行ったプレゼンテーション発表会を2年目は行うことができませんでした。

進級・進学テストの過去問題集の作成
 Grade11への進級テストと、大学や各種専門学校への進学テストが毎年10月から11月にかけて全国一斉に行われます。私の提案により、その過去問題5年分を単元ごとに分け、解答と解説を作ることが数学科会議で決まりました。Grade10用、Grade12(General、一般)用、Grade12(Advance、特進)用の3部を作るはずだったのが、Grade10用しかテスト前に完成しませんでした。その完成しなかった原因は色々あり、例えば、5年分は多かった、解説を作るのが大変だった、去年のを使えば大丈夫、そんなに必要ない、忙しい、などが挙げられました。もっとシンプルな形式にしたり、目的を明白にするなど、会議でもっとよく話し合うべきだったと反省しています。

授業評価、ティーム・ティーチング
 授業評価は、数学科主任も授業に入り教員の指導方法について評価します。1年目は月に1度や1学期に1度ほど行われていましたが、2年目は行われませんでした。私のティーム・ティーチングという、その授業評価のように他の教員も授業に参加し、演習補助などをする手法を提唱しました。主に私が他の数学教員の授業に参加して演習補助をしていたのですが、現地教員でそれを行うことは授業コマ数が多いことや、頻繁に変わる時間割により意外と難しいようでした。

 クラス写真

2 配属先以外での活動

ユニセンター(塾・予備校のような施設)
 この施設でのテストを通過すると、大学や各種専門学校に行くことができます。毎週3回、各2時間ほどの講義で、現地教員とティーム・ティーチングをして効果的に演習を行うことができました。

3 日本との関わり

掲示板
 日本文化や日本語の挨拶、福島県のことを紹介する掲示板を作りました。やはり日本に興味を持つ子ども達、教員が多く、簡単な挨拶をすぐに覚え使っていました。パプアニューギニアには公用語であるピジン語だけでなく、トクプレスと言われる現地語が800言語以上あると言われています。なので、日本語も意外と簡単に話せるようになるかもしれませんね。

文通
 掲示板で興味を持った生徒が、以前私が日本で働いていた郡山ザベリオ学園中学校と文通をしました。お互い異なる文化や宗教、生活環境などを共有することができました。東日本大震災のことも知っていて、皆心配していました。

寄贈3回

  1. マヌス・セカンダリー・スクールに、ミシン10台、ギター3台など。(郡山ザベリオ学園より)
  2. .ポンブル小学校へ、サッカーボール20個。
    (世界の笑顔のためにプロジェクトを通して、わかちあいプロジェクト様より)
  3. ロパハン小学校に、雨水タンク1基、本65冊
    (郡山ザベリオ学園、現地企業のパピンドーグループ、個人寄付により)

 このように、「見える寄付」をすることができました。世界が繋がっていると感じること、助け合う精神を共有することができました。仲介役であった私も、多くの人の協力と理解が得られたことをとても嬉しく思いました。

文通

4 活動を終えて

 「地球探検」を通して、パプアニューギニアのこと、マヌス島のこと、私の活動のことなど、多くのことを発信してきました。みなさんはどんなイメージを持ちましたか?今後も教員だけでなく、色々な機関でボランティアの援助が必要である国のひとつであることは確かなことです。それと同時に、ラスカルと呼ばれる強盗集団がいること、部族間の争いがあること、治安が悪い地域も多くあり危険な国であることも確かなことです。
 ここには日本と異なる生活があり、文化があり、思想があります。ただ、それだけです。この地球上で生活している人に変わりはありません。なにも変わりません。
 先進国だから幸せ、開発途上国だから不幸せ、そんなことは決してありません。幸せの定義は人によって異なります。みなさんは今、幸せですか?どうなれば幸せで、どうなれば不幸せか、話すことはできますか?
 私はこの2年間のパプアニューギニア生活で、当たり前なことに気づきました、思い出しました。家族や友人、ワントク(同じ現地語を話す集団)を大事に想うこと、自然や文化を守ることです。そんなパプア人のワントクや自然を守る文化を日本でも広げていきたいなと思います。

 この2年間、多くの人の助言や援助がありました。本当にありがとうございました。

マヌス・セカンダリー・スクールにて