地球探検 パプアニューギニア独立国 泉田裕章隊員 7
レポート7
7. マヌス島の水事情
私は今、青年海外協力隊の理数科教師として、パプアニューギニアのマヌス州、州都ローレンガウのマヌス・セカンダリー・スクールに配属されています。 今回は、「マヌス島の水事情」についての話をしようと思います。 まず、熱帯雨林気候に属するマヌス州の気候について紹介します。年間を通しての平均気温は27~33℃くらいで、湿度は80%以上、必ずといっていいほど一日1回は数分の激しい雨が降ります(スコール)。教室の屋根にあたる雨の音が大きくて、雨の音しかしないので、まったく授業にならない激しい雨です。まさにこれが「バケツをひっくり返したような雨」というのでしょう。 季節は2つ、雨季と乾季があります。実際に暮らしていると通年雨季のような感じもする、水に困らない地域のように思われます。しかし、島によっては11月~1月くらいの時期に雨がほとんど降らない深刻な地域もあります。 マヌス島の主要な町や村は、上下水道が整備されていて、また、雨水を溜めるタンク(ワラタン)も一家にひとつあります。水道が整備されているとは言っても、白く濁った水や茶色の水が時々出たり、断水します。また水道料金は電気料金もまた結構高いので、節約を意識している家庭が多いです。現地の人は水道水を洗濯やシャワー、トイレなどに使いますが、ワラタンの水位によってはこの水を使います。 このワラタンは、雨水を溜めているので比較的きれいな水です。もちろん食事に使ったり、飲料水として使います。 小さな島や村では、いまだに水道が整備されていません。だから雨水とワラタンは大切なものです。場所によっては海や川で水浴びやトイレ、洗濯をするのはごく普通のことになっています。 これは我が家のワラタンです。高さ1メートルくらいの一番小さなサイズですが、2~3人の家族ならばこのサイズで十分間に合います。食事や飲料水には目の細かい網でこして、煮沸してから使うようにしています。洗濯は、ワラタンの水が十分にあるときはその水を使い、あまり水位が高くないときは水道水を使います。
現地の家族は、「子どもが5人、6人は当たり前」、という話をよく聞きます。そして、その大家族に合うワラタンも高さ2メートルを超えるとても大きなものがごく当たり前に設置されています。マヌス島は高床式の家が多いので、家の下に洗濯物を干したり、ここで食事を作ったり、昼寝をしたりします。ここならスコールがきても大丈夫です。
海や川があって、多くの雨が降るマヌス島。それでも人々は水の大切さを知っていて、節約に心がけます。水を大事に使うこの姿勢は、日本でも同じですね。 |
パプアニューギニア独立国 泉田裕章 平成23年度3次隊 職種:理数科教師 配属先:マヌス・セカンダリー・スクール