地球探検 パプアニューギニア独立国 泉田裕章隊員 9
レポート9
9. マヌス島の食べ物事情
私は今、青年海外協力隊の理数科教師として、パプアニューギニアのマヌス州、州都ローレンガウのマヌス・セカンダリー・スクールに配属されています。 今回は、「マヌス島の食べ物事情」についての話をしようと思います。 熱帯地域の主食として、タロイモ、ヤムイモ、キャッサバなどが有名です。しかし、最近では米やパンも流行しています。マヌス産・パプア産の米はまだ少なく、ほとんどタイなどから輸入されています。マヌス島では稲作栽培のJICAボランティアが、肥料や土の作り方、苗床の作り方から栽培方法、脱穀の仕方などを支援しながら、稲作農家の人たちとともに活動しています。
タロイモとヤムイモは主に野菜と一緒にココナッツミルクで煮込みます。もちろんジャガイモ(ポテト)やサツマイモ(スイートポテト)も売られていますが、比較的収穫量が少ないので、輸入されることもあります。
マーケットでは少なくとも5種類もの葉物野菜(クム)が並びます。もっともポピュラーなクムは「アイビカ」と呼ばれる野菜で、粘り気があり味も食感もモロヘイヤによく似ています。
ココナッツの種類は1種類ですが、ココナッツを収穫するタイミングによって「クーラオ」、「ココナス」、「クラウ」と3種類に分けられます。クーラオはまだココナッツが木の上にあり、若いココナッツにあたります。子どもたちが木に登って収穫します。クーラオは中のココナッツジュースがとても美味しく、また中味の白い部分も食べることができます。ゼリーのように柔らかく甘くて美味しいです。ココナスは、ココナッツが熟して下に落ちた状態になります。もちろん中のココナッツジュースは美味しいのですが、中の白い部分は硬くなり、食べることができません。しかし、この白い部分を削り取り、水に浸すとココナッツミルクを作ることができます。ココナッツの煮込み料理は、このココナッツミルクを使って作ります。クラウは、熟して下に落ちたココナッツがしばらく経ってさらに、新芽や根が出てくるときの状態をいいます。中のココナッツジュースはもうありません。しかし、中の白い部分がふわふわのスポンジ状になっていて、甘くて美味しいです。 食べ終わったココナッツの殻は、乾かして薪のように使います。また、ココナッツミルクを長時間煮込み、ココナッツオイルを作ることができます。
左下の写真は、タロイモ、ヤムイモ、ポテト、スイートポテト(さつまいも)をココナッツミルクで煮込んだ料理です。右下の写真も、魚をココナッツミルクで煮込んだ料理です。独特の魚のにおいが消え、ほんのり甘いやさしい味に仕上がります。
左下の写真は、アイビカとエンドウのような豆をココナッツミルクで煮たものです。魚や肉を入れたりヌードルを入れたりと、それぞれの家庭でアレンジされます。右下の写真は、クッキングバナナです。厚い皮をナイフで切り、もちろんココナッツミルクと野菜で煮込み、塩とチキンパウダーで味を調えて出来上がり。デザートにしてもいい一品です。
左下の写真はラム肉と野菜のシチューです。もちろんベースとなるスープはココナッツミルクで、塩コショウで味を調えます。スーパーには、鶏肉、豚肉、ラム肉がよく売られています。時々、牛肉や、ワニ肉も店頭に並ぶこともあります。右下の写真のように、1枚のお皿にご飯とおかずをいっぱいのせる、これがパプアスタイルです。この時はすべてココナッツミルクがベースとなっていたので、どのおかずもほんのりココナッツ香る、素材の味を生かした美味しいものでした。
鶏は、卵のために飼っている家庭も多く、祭りや祝い事の時にはその鶏を絞めます。右下の写真は、「カスカス」と呼ばれる木登りカンガルーの種類で、主にペットとして飼われていますが、祝いの時には食べてしまいます。ペットとして飼っていたこんなかわいいカスカスを食べてしまうのは、少し気が引けてしまいます。
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パプアニューギニア独立国 泉田裕章 平成23年度3次隊 職種:理数科教師 配属先:マヌス・セカンダリー・スクール