地球探検 パプアニューギニア独立国 鹿野陽太隊員 1
バナナの育ち方
今年1月、常夏の国パプアニューギニアにやってきました。パプアニューギニアはオーストラリアのちょうど真上に位置し、独立しておよそ35年という若い国です。私の住むキウンガという町(地図)は、そのニューギニア島のちょうど真ん中にあり、毎日暑いです。入道雲が大きくなったと思うと、雷とともに激しい雨が降ってきます。日本でいう激しい雨は比べものにならないくらい強く、水が降ってくるというのが表現として正しいように思います。そんな雨の中、子供達は裸で水浴びをしています。シャワーのかわりなのでしょう。私もそんな風に水浴びをしたいのですが、近所の目もありできません。 (パプアニューギニアの地図) |
ところで、この国の人々はのんびりしています。昼間の炎天下が嫌いなので、午後は建物の影に隠れて過ごしています。農作業のような仕事は、午前中で切り上げるのが普通のようです。熱帯気候のおかげで、あまり世話をしなくてもバナナやさつまいもが年中とれてしまうので、のんびりしていても楽しく過ごせるのです。 ときたま、そののんびりした人々と働く歩調が合わなくなるのですが、見たこともない植物、昆虫、魚、動物との出会いに感動しながら、楽しく過ごしています。これから2年間過ごすわけですが、そうした動植物の見せる姿を見ていたらあっという間に2年はすぎてしまうように思います。これから、5回ほどですが、そうした日本にはいない動植物の姿を伝えていこうと思います。今回はこの国の人の主食バナナについて。 日本では、バナナというとフィリピン産の黄色いバナナが普通ですが、ここには調理用と生食用があります。ここに来るまで、バナナの花を見たこともなく、調理して食べたこともありませんでした。バナナは、大きな紫色のつぼみの中に、ふさになって入っています。日がたつと、茶色のつぼみの皮が剥がれおち、黄色っぽい花が咲きます(写真1)。日本で食べるバナナの一本一本のヘタの部分には花が咲いていたのです。花は良い香りがするようで、ミツバチやアブがたくさんやってきて、蜜を吸い、受粉を手伝っていきます。 |
(写真1-1) | (写真1-2) |
受粉を終えると、つぼみの皮が落ち、花も落ちて、みるみるうちに大きくなっていきます。最初は黄緑色(写真2)ですが、だんだん深い緑色になり収穫されます。種類(写真3)によって大きさや熟して黄色くなるまでの時間が違うようで、調理用で売られているバナナも黄色く柔らかくなると甘くおいしいバナナに変わります。調理用は煮るか揚げるかして食べるのですが、味はジャガイモそっくりです。1本食べたら満腹になれます。私は豆を煮て作ったカレーにゆでたバナナをそえて食べています(写真4)。ゆでバナナにバターをかけるとじゃがバターそっくりです。黄色いバナナも日本で食べるのとは違ってすごくおいしいです。 バナナの木は一度バナナがなると枯れてしまうので切り倒します。すると下から新しい芽が出てきます。ここの人たちは、植え替えながらバナナを増やしていきます(写真5)。バナナはニューギニア島が原産らしく、たまに大きな種のあるバナナがでてきますが、普通は種は小さく、植えても芽はでてこないみたいです。 今回は、日本では見ることのできないバナナの育ち方について書いてみました。日本でバナナを食べるときに、遠い南国の地で花が咲いて実っている光景を想像してみてください。少しだけ南国に行った気になれるかもしれません。次は、夏になるので昆虫の話にしてみたいと思います。
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パプアニューギニア独立国 鹿野陽太 平成24年度3次隊 職種:養殖 配属先:ウェスタン州農畜水産局