地球探検 ウガンダ共和国 田中俊隊員 6
ウガン便り
Vol.6 井戸について知ろう!
Bassebo ne bannyabo, muli mutya?(皆さん、お元気ですか?)
私は東アフリカのウガンダ共和国で、村落開発普及員として地方給水整備に従事しています。今回は今日の日本では馴染みのない、しかしウガンダや他のアフリカ諸国で広く普及している井戸についてお伝えしたいと思います!
日本では井戸は最近ではほとんど見ることはありませんが、以前は水を得る重要なツールとして広く利用されていました。
江戸時代の下町地域では埋設管路からの取水のための「堀井戸」が普及しました。つるべと桶を使ったつるべ式井戸(写真1)でおなじみですね。明治時代以降、更に深い帯水層まで掘り抜く「堀抜井戸」が普及しました。堀井戸よりも深くから取水するため手押しポンプ(ハンドポンプ)が使われ、昭和初期から昭和20年代頃までよく利用されました(写真2)。堀抜井戸の掘削技術では、少ない機材と人員で500m以上の掘削が可能な「上総(かずさ)堀り」(写真3)が有名で、上総堀りによってウガンダの村人の飲み水を確保する、というTV企画もあったのでご存じの方も多いかと思います。
←写真1 つるべ式井戸
←写真2 昭和初期の手押しポンプ
←写真3 上総掘りの技術
他方、「ウガン便り Vol.4 ムピジ県の水事情」でも写真をご紹介しましたが、ウガンダでは手押しポンプ(ハンドポンプ)が普及しています。ただし、私たちのイメージにある井戸ではなく、鉄製のゴツイ形をしていて、U-2、U-3 Modified、Nira AF-85 Pump……など、まるでロボットのような名前で呼ばれています(写真4・5参照)。構造(図1参照)は少し複雑に見えますが意外にシンプルで、ハンドルの上下運動に合わせ圧力の下がったシリンダー内に地下水が入り込み、さらに連続的なハンドルの往復による圧力の変動でパイプを伝い蛇口から出てくる仕組みになっています。
←写真4 U-3 Modified プラスチックパイプなので、 さびにくく耐久性の高い井戸
←写真5 Nira AF-85 Pump 自転車のようなシンプルな形で、子どもにも汲みやすい井戸
図-1 ハンドポンプの構造 |
(2012年9月)
田中 俊 平成22年度1次隊 村落開発普及員 ムピジ県水衛生事務所