旅館業の営業許可について
宿泊料を受けて、人を宿泊させる業を営む場合、旅館業法に基づく営業許可を受ける必要があります。
許可を受けるのに必要な手続きは、以下のとおりです。
旅館業法に関する相談や許可の申請等は、管轄の保健所で受け付けています。お気軽にお問い合わせください。
旅館業とは
旅館業とは、次のような営業のことです。
旅館・ホテル営業 | 施設を設け、宿泊料を受けて、人を宿泊させる営業。 |
簡易宿所営業 | 宿泊する場所を多数人で共用する構造及び設備を主とする施設を設け、宿泊料を受けて、人を宿泊させる営業。 |
下宿営業 | 施設を設け、1月以上の期間を単位とする宿泊料を受けて、人を宿泊させる営業。 |
- 「宿泊」とは、寝具を使用して上の施設を利用することをいいます。寝具には、客が持参したものも含みます。
- 「宿泊料を受けて」とは、宿泊者又はその代理人等から名称或いは金銭又は現物のいかんをとわず、宿泊の代価にあたるものを徴収することをいいます。ただし、食事の実費相当額又は社会通念上食事代と考えられる額しか徴収しないときは、旅館業法の適用対象とはなりません。
許可を受けるまでの流れ
事前相談
設計図等を持参の上、管轄の保健所に御相談ください。
基準に適合しない施設には許可を与えない場合がありますので、必ず工事着工前に御相談ください。
また、担当者が不在の場合もありますので、来訪される前にお電話いただけますと幸いです。
申請書の提出
添付書類として、申請書の備考欄に記載したものの他に、「建築基準法第7条第5項又は第7条の2第5項の規定による検査済証の写し」及び「消防法令適合通知書」が必要になります。
申請手数料は、1件につき22,000円です。申請書の所定欄に、当該額の福島県収入証紙を貼付してください。(「収入印紙」ではありませんので、御注意ください。)
旅館業営業許可の標準処理期間(申請書を受理してから許可証を交付するまでに要する期間)は、10日間(土日、祝日を除きます)です。余裕をもった提出をお願いいたします。
施設検査
施設が基準に適合していることを確認するため、保健所の環境衛生監視員が立入検査を行います。
許可指令書の交付
許可指令書の交付を受けてはじめて、営業を開始することができます。
許可を与えない場合
次の場合には、許可を与えない場合がありますので、御注意願います。
基準に適合しない場合
基準の内容については、後述します。
施設の設置場所が公衆衛生上不適当である場合
申請者が次のいずれかに該当する場合
1.精神の機能の障害により、旅館業を適正に行うに当たって必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者
2.破産手続き開始の決定を受けて復権を得ない者
3.禁錮以上の刑に処せられ、又は旅館業法若しくは旅館業法に基づく処分に違反して罰金以下の刑に処せられ、その執
行を終り、又は執行を受けることがなくなった日から起算して3年を経過していない者
4.旅館業法第8条の規定により許可を取り消され、取消しの日から起算して3年を経過していない者
5.暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律第2条第6号に規定する暴力団員又は同号に規定する暴力団員
でなくなった日から起算して5年を経過しない者
6.営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者でその法定代理人が1から5のいずれかに該当する者
7.法人であって、その業務を行う役員のうち1から5のいずれかに該当する者があるもの
施設の設置場所が、次に掲げる施設の敷地の周囲おおむね100メートルの区域内にある場合において、その設置によって当該施設の清純な施設環境が著しく害されるおそれがある場合
1.幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校及び高等専門学校
2.幼保連携型認定こども園
3.助産施設、乳児院、母子生活支援施設、保育所、児童厚生施設、児童養護施設、障害児入所施設、児童発達支援セ
ンター、児童心理治療施設、児童自立支援施設、児童家庭支援センター及び里親支援センター
4.公民館
5.図書館
6.博物館(文部科学大臣又は都道府県の教育委員会が指定した「博物館に相当する施設」を含む)
7.都市公園のうち、いわゆる街区公園、近隣公園、地区公園(主として児童の利用が見込まれるような住宅の近くにあ
る公園)
※土木部都市計画課HP(都市計画関係)に掲載されている「都市計画年報」で確認できます。(エクセルファイルの
シート「15-(1)」を御覧ください。)
8.磐梯青少年交流の家及び那須甲子青少年自然の家
9.福島県会津自然の家
- 以下では、これらの施設を「学校等」とします。
- 学校等の「敷地」には、これらの用に供するものと決定した土地を含みます。(以下、同じ。)
構造設備の基準
旅館業を営む施設は、次の構造設備に関する基準を満たす必要があります。
旅館・ホテル営業 | 簡易宿所営業 | 下宿営業 |
1客室の床面積は、7平方メートル(寝台を置く客室にあっては9平方メートル)以上であること。△ |
客室の延床面積は、33平方メートル(宿泊者の数を10人未満とする場合には、3.3平方メートルに当該宿泊者の数を乗じて得た面積)以上であること。△▲ | 1客室の床面積は、7平方メートル以上とすること。 |
宿泊しようとする者との面接に適する玄関帳場その他当該者の確認を適切に行うための設備△ | ||
適当な換気、採光、照明、防湿及び排水の設備を有すること。 | ||
当該施設に近接して公衆浴場がある等入浴に支障をきたさないと認められる場合を除き、宿泊者の需要を満たすことができる「適当な」規模の入浴設備を有すること。◎ | ||
浴室は、次の要件を満たすものであること。 1.客室、廊下その他の場所から見通すことができない構造とすること。 2.換気及び採光のために必要な窓その他の開口部又はこれに代わる装置を設けること。 3.湯及び水を十分に供給することができる設備を設けること。 4.脱衣場は、洗い場と区別すること。 |
||
宿泊者の需要を満たすことができる適当な規模の洗面設備を有すること。 | ||
適当な数の便所を有すること。 | ||
便所は、次の要件を満たすものであること。○ 1.便器は、不浸透性材料を用いたものであること。 2.水を十分に供給することができる流水式の手洗設備を設けること。 |
||
当該施設の設置場所が学校等の敷地の周囲おおむね100メートルの区域内にある場合には、当該学校等から客室又は客の接待をして客に遊興若しくは飲食をさせるホール若しくは客に射幸心をそそるおそれがある遊技をさせるホールその他の設備の内部を見通すことを遮ることができる設備を有すること。 | ||
階段及び二階以上にある客室、廊下その他の場所の転落のおそれのある箇所には、堅固な手すりを設けること。○ |
特例
次の各施設については、構造設備の基準を適合しない等の特例が設けられています。(ただし、下宿営業は除く。)
施設の種類 | 適用しない基準 | 条件付きで適用しないことができる基準 |
---|---|---|
※ 以下、「季節的営業等」という。 |
△ |
◎及び○ (ただし、○は旅館・ホテル営業及び簡易宿所営業に限る。) |
農林漁業者が農山漁村滞在型余暇活動のための基盤設備の促進に関する法律第2条第5項に規定する農林漁業体験民宿業を営む施設 |
▲ |
- 「条件付きで適用しないことができる基準」の条件とは、季節的状況、地理的状況等によってこれらの基準による必要がない場合又はこれらの基準によることができない場合であって、かつ、公衆衛生の維持に支障がないとき、をいいます。
営業者の講ずべき衛生措置
営業者は、営業開始後は、次の措置を講じなければなりません。
換気
- 換気のため窓その他の開口部は、必要に応じ開放すること。
- 機械換気設備又は空気調和設備による場合は、当該設備を十分に運転すること。
- 機械換気設備:空気を浄化し、その流量を調節して供給(排出を含む。以下同じ。)することができる設備
- 空気調和設備:空気を浄化し、その温度、湿度及び流量を調節して供給することができる設備
採光及び照明◇
- 客室:床面において40ルクス以上の照度を有すること。
- 浴室、洗面所及び便所:床面において30ルクス以上の照度を有すること。
- 廊下及び階段:床面において20ルクス以上(深夜にあっては、床面において5ルクス以上)の照度を有すること。
防湿
- 排水施設は、流通を常に良好にし、雨水及び汚水の排水に支障のないようにしておくこと。
- 客室の床が木造であるときは、床下の通風を常に良好にしておくこと。
清潔
営業の施設及びその周辺
- 営業の施設及びその周辺は、常に清潔にしておくこと。
- ねずみ、昆虫等の発生の防止及び駆除に努めること。
客室
客室には、くず入れを備えること。
浴室
- 浴室には、清浄な湯及び水を十分に供給すること。
- 浴槽水は、毎日入れ替えること。ただし、浴槽水を循環ろ過装置でろ過し、かつ、消毒設備で消毒する場合は、必要に応じ入れ替えること。
- 循環装置により浴槽水を循環する場合にあっては、循環水の誤飲を防止するための措置を講ずること。
- 洗いおけ及び腰掛けを浴室に備える場合は、清潔なものを用いること。
- 脱衣かご、脱衣棚等は、常に清潔にしておくこと。
洗面所
- 洗面所には、飲用に適する湯又は水を十分に供給すること。
- 洗面所には、くず入れを備えておくこと。
便所
- 汲取式便所にあっては、殺虫剤、防臭剤等の散布その他の方法により、常に防虫及び防臭に努めること。
- 手洗設備には、清浄な水を十分に供給すること。
- 手洗設備に手ぬぐい、タオル等を備えるときは、宿泊者一人ごとに取り替えること。
廊下
廊下には、必要に応じくず入れを備えること。
寝具類
- 寝具類は、常に清潔にし、客室の総定員以上の数を備えること。
- 敷布、まくら覆い、布団襟及び浴衣は、宿泊者一人ごとに洗濯したものと取り替えること。
- 寝具類は、随時日光に当てる等により乾燥すること。
その他の衛生措置
客室の定員◇
客室の定員は、次に定めるところにより算出した人数を超えないこと。
- 旅館・ホテル営業
床面積3.0平方メートルにつき一人(寝台を置く客室にあっては、床面積4.5平方メートルにつき一人)
2. 簡易宿所営業(宿泊者が10人以上の施設及び省令第5条1項第4号に掲げる施設に限る。)
床面積2.2平方メートルにつき一人(階層式寝台を有する客室にあっては、当該寝台の各階層の面積1.65平方
メートルにつき一人)
3. 簡易宿所営業(宿泊者が10人未満の施設(省令第5条第1項第4号に掲げる施設を除く。))
床面積3.3平方メートルにつき一人
4.下宿営業
床面積3.0平方メートルにつき一人
暖房設備
- ガス、石油等を燃料とする暖房設備を客に使用させる場合には、客の見やすい場所に、その使用方法その他衛生上必要な事項についての注意書を掲示すること。
- ガスを燃料とする暖房設備にあっては、宿泊者の安全衛生を確かめた後にガスの元栓を開放すること。
利用基準
営業者は、営業の施設を利用させるについては、次の基準によらなければなりません。
- 善良の風俗が害されるような文書、図画その他の物件を営業の施設に掲示し、又は備え付けないこと。
- 善良の風俗が害されるような公告物を掲示しないこと。
特例措置
◇の基準については、次の特例措置が定められています。
旅館営業及び簡易宿所営業のうち、季節的に利用されるもの、交通が著しく不便地域にあるものその他特別の事情があると認められるものであって | ||
---|---|---|
季節的営業等である施設 | 修学旅行団体を宿泊させる際の施設 | |
採光及び照明 |
施設の内部は、電燈、ランプ、ローソクその他の照明具により照明し、宿泊者の利用に支障のない明るさとすること。 |
|
客室の定員 |
床面積1.65平方メートルにつき一人の割合により算出した人数を超えないこと。 |
宿泊拒否の制限
営業者は、次の場合を除いて、宿泊を拒んではいけません。
- 宿泊しようとする者が特定感染症の患者等であるとき。
- 宿泊しようとする者が賭博その他の違法行為又は風紀を乱す行為をするおそれがあると認められるとき。
- 宿泊しようとする者が、営業者に対し、その実施に伴う負担が過重であって他の宿泊者に対する宿泊に関するサービスの提供を著しく阻害するおそれのある要求として以下のものを繰り返したとき。
- 宿泊料の減額その他のその内容の実現が容易でない事項の要求(宿泊に関して、障害者差別解消法第2条第2号に規定する社会的障壁の除去を求める場合を除く。)
- 粗野又は乱暴な言動その他の従業者の心身に負担を与える言動(営業者が宿泊しようとする者に対して、障害者差別解消法第8条第1項の不当な差別的取扱いを行ったことに起因するものその他これに準ずる合理的な理由があるものを除く。)を交えた要求であって、当該要求をした者の接遇に通常必要とされる以上の労力を要することとなるもの
- 宿泊施設に余裕がないとき。
※障害者差別解消法:障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成25年法律第65号)
宿泊拒否の詳細については、以下の厚生労働省HPを御参照願います。
宿泊者名簿
営業者は、宿泊者名簿を備え、保健所職員の要求があったときは、これを提出しなければなりません。
【福島県(福島市、郡山市及びいわき市を除く)における宿泊者名簿の記載事項】
1 | 氏名 |
2 | 住所 |
3 | 連絡先 |
4 | 国籍(日本国内に住所を有しない外国人であるとき) |
5 | 旅券番号(日本国内に住所を有しない外国人であるとき) |
6 | 到着年月日 |
7 | 出発年月日 |
8 | 年齢 |
宿泊者名簿の詳細については以下のリンクを御参照願います。
【旅館業営業者の皆様へ】~宿泊者名簿への記載等の徹底について
承継承認申請
申請手数料は1件につき、7,400円です。
承継承認申請が必要となるのは、次のような場合です。
譲渡による承継承認
営業者が当該旅館業を譲渡する場合で、譲受人が、営業者の地位を承継しようとする場合。
承継承認を受けずに譲渡が成立してしまうと、無許可営業のおそれが生じるとともに、営業するためには新規の許可が必要となりますので、必ず事前に保健所に相談してください。
合併又は分割による承継承認
営業者が合併又は分割する場合で、合併後存続する法人(営業者が存続する場合を除く)若しくは合併により設立された法人又は分割により当該旅館業を承継した法人が、営業者の地位を承継しようとする場合。
承継承認を受けずに合併又は分割が成立してしまうと、無許可営業のおそれが生じるとともに、営業するためには新規の許可が必要となりますので、必ず事前に保健所に相談してください。
相続による承継承認
営業者が死亡した場合で、相続人(相続人が2人以上ある場合で、その全員の同意により当該旅館業を承継すべき相続人を選定したときは、その者)が被相続人の営業していた旅館業を引き継ごうとする場合。
被相続人の死亡後60日以内に管轄の保健所に申請する必要があります。
変更の届出
営業者は、営業許可申請書及び承継承認申請書に記載した事項を変更したときは、10日以内にその旨を管轄の保健所に届け出なければなりません。
なお、変更の内容によっては、新規の許可が必要となる場合がありますので、予め保健所に御相談ください。
新規の許可が必要となる例:構造設備が大幅に変更となる場合、営業者が変更となる場合(法人の合併・分割、個人の相続を除く。)
営業の停止又は廃止の届出
営業者は、営業の全部若しくは一部を停止し若しくは廃止したときは、10日以内にその旨を管轄の保健所に届け出なければなりません。