「多核種除去設備における排気フィルタの損傷」に対する申し入れ
令和3年8月24日、増設多核種除去設備(増設ALPS)にて、高性能容器(HIC)内のスラリー移し替え作業を実施していたところ、抜出装置排気フィルタ出口に設置されている連続ダストモニタが高警報を発報しました。
原因を調査したところ、8月30日に排気フィルタの損傷(破損)が確認されました。その後の点検において、既設ALPSと増設ALPSの併せて全25箇所のフィルタのうち24箇所において損傷が確認されましたが、損傷した時期の特定が困難であるなど、設備の管理体制に不備が見られました。
当該フィルタは放射性物質を除去する重要な設備であり、2年前に同様の損傷が発生していたにもかかわらず、その情報が社内で共有されずに再発防止に必要な対策を講じる機会を失い、今回のトラブルの原因になったことは、廃炉作業の安全を確保する上で不適切であります。
東京電力に対しては、本年2月の福島県沖地震以降に相次いだトラブルや情報提供の不十分な対応、さらには放射性廃棄物等の不十分な管理について、申し入れているところでありますが、今回のフィルタ損傷の問題を踏まえ、より一層の安全管理の徹底を図るよう、次のとおり申し入れました。
概要
- 日時 令和3年9月24日(金曜日)15時00分
- 場所 県庁北庁舎 2階 プレスルーム
- 申入者
- 危機管理部政策監 伊藤 智樹
- 危機管理部原子力安全対策課長 伊藤 繁
- 相手方
- 東京電力ホールディングス株式会社福島第一廃炉推進カンパニー バイスプレジデント 田南 達也
- 東京電力ホールディングス株式会社福島復興本社 福島広報部長 松井 健一郎
東京電力からの報告内容
【申し入れ前】
- HICスラリー移替え作業におけるダスト濃度上昇について [PDFファイル/2.75MB] [PDFファイル/2.75MB]
- HIC排気ラインの排気フィルタ損傷(続報)ならびにALPS運転再開の予定について [PDFファイル/4.15MB] [PDFファイル/4.15MB]
- HIC排気ラインの排気フィルタ損傷(続報2)ならびに増設ALPS運転再開について [PDFファイル/0.3MB] [PDFファイル/300KB]
- 多核種除去設備(ALPS)ならびに高性能容器(HIC)の排気フィルタについて [PDFファイル/4.34MB]
【申し入れ時】
申し入れ内容
- 2年前のフィルタ損傷の事案が組織的に共有されなかったことを含め、原因を徹底的に究明し、再発防止対策を検討すること。
- トラブルの未然防止の観点に立って、多核種除去設備を含め、重要な設備等の保守管理の在り方を見直すとともに、設備の総点検に適切に反映すること。
- 緊急時に備え、放射性物質を除去するような目的で設置されている資機材や、放射性物質の漏えいを検知するモニタリング機器等については、常に予備品を確保していくこと。
- 県民目線に立った安全管理の意識を醸成するため、社員を始め協力事業者等に対する教育や研修を徹底すること。
今後の対応
東京電力に報告を求めるとともに、楢葉町駐在職員による現地確認を継続してまいります。
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