DAY 3
NIKKO NATIONAL PARK
新甲子温泉から国道289号で峠を越え、大内宿へ向かいました。江戸時代には会津若松と日光を結ぶ重要な道の宿場町として栄えた大内宿。鉄道の開通によって一度はその存在が埋もれてしまいましたが、昭和40年代に入るとその風情ある景観が歴史的に評価され、保存活動が盛んになりました。
本家叶屋の11代当主である阿部さんは、茅葺職人の高齢化が進む中、地域内の担い手有志による大内宿「結いの会」に参加し、茅葺きの技術継承や大内宿の自然・文化資源の維持に努めるなど、大内宿の伝統文化を将来につなぐための取組に力を注いでいます。
「大内宿は、ただの歴史資料館や博物館ではなく、今も人が暮らしています。私たち地域住民と交流していただくことで、その暮らしに触れ、茅葺屋根をはじめとする伝統文化の大切さを知ってほしい。そして茅葺職人の減少を食い止めたい。」と阿部さんは語りました。
旧小学校校舎を会場に、茅葺き体験をさせてもらいました。近場で採れる茅を材料に、手作業で葺いていきます。
参加者からは、『伝える人がいなくなってしまったら、このすばらしい風景も消えてしまう。こうした茅葺き体験を通して、多くの人に大内宿の文化が伝わっていくといいですね。』『売らない・貸さない・壊さないという住民憲章を守りながらも、cafeや物販店など新しい手段で集落の魅力を発信している努力が素晴らしい。』『伝統的な茅葺きの家屋の中で家主さんたちがどんな風に現代的な暮らしをしているのか興味があります。茶の間や台所など見てみたい。』などの感想がありました。
茅葺き体験の後は、「大黒屋」にて大内宿名物の「ねぎ一本そば」をいただきました。
会津ではそばがお祝いや献上品として用いられ、「切る」ことが縁起が悪いことから、ねぎを切らずに箸代わりに使ったのが始まりという説や、小さいお椀にねぎを挿して子孫繁栄を願うという風習が元になったという説もあります。(諸説あります)
喉越しのいい冷たいそばと風味のいいつゆ、甘味と辛味のバランスのいいねぎの組み合わせに、そばもねぎも完食する参加者がたくさんいました。
今回の2泊3日の総まとめとして、西郷村文化センターにて意見交換会を開きました。
参加者からは、次のような意見が出されました。
『ワーケーション内のコンテンツプレイヤーとして、魅力的な話ができる人材が豊富でした。ひとりひとり、もっとじっくり話をする機会を改めて持ちたいと思いました。この人材の豊かさを活かし、“この人と交流を深めるために西郷を訪れたい”“この人と新しい仕事をしたい”と頻繁に訪れるきっかけをつくることがまちづくりに繋がるのではないでしょうか。』
『もともと人の出入りや文化の流入があり、都会で働く人が馴染みやすい土台がある。何度も訪れることができる、観光や出張と移住の中間のような楽しみ方ができたらおもしろいですね。』
『“村”という字面からは想像できないほど洗練された印象、おしゃれ感があります。まるごと西郷館に並ぶ商品もスタイリッシュで、ブランド化に成功しています。来訪される方に大きな魅力として映ると思います。』
『観光としての魅力は十分に感じますが、ワーケーションとなると観光よりも滞在、移住に近くなるので、地域の企業とワーケーションで訪れる企業や個人が関係性を築けるか、ということを考えなければいけません。シナジーを生むためには、お互いが提供し合う関係性になる必要があります。』
『社員をワーケーションに送り出す企業としては、会社に戻った時に会社に還元できるものは何か、ということが非常に大きな着目点となります。単に“観光の合間に仕事をしてきた”では継続できない。ワーケーションを介して、互いに抱えた課題の解決に役立つような、成果に結びつくものにする必要があります。』
魅力あふれる地域の人々との交流が、ワーケーションを通したWin-Winの関係づくり、ひいては地域の活性化の種となることを実感したツアーでした。