DAY 1
BANDAI-ASAHI NATIONAL PARK
福島県内における鉄道の要衝でもある福島駅。磐梯朝日国立公園への東の玄関口でもあり、東京からは新幹線で約1時間30分の近さ。最初の目的地、土湯温泉まではここから車で約30分の位置にあります。
土湯温泉街の中心部にある複合施設「湯楽座(ゆらくざ)」は2021年4月にグランドオープンしました。1階には観光案内所のほか、土湯こけしや地場産品の展示販売コーナーがあり、2階にはカフェレストランやWi-fiが完備されたコワーキングスペースが、さらに、5・6階には素泊まりできる宿泊室も整備されています。
温泉地でのワーケーションは、自分の好きなタイミングで温泉に浸かり、仕事の疲れを癒せるのが醍醐味。身体も心もリフレッシュし、集中力もアップします。また、地元の名物を食べることも楽しみのひとつです。
オリエンテーション後には、2階のカフェレストラン「温蒸し食堂ゆげ」で、隣接するどぶろく醸造所の糀を使ったわっぱめし「温蒸しごはん」をいただきました。手作りこんにゃくや山菜など、地元の幸もたっぷりと味わえます。
震災による建物への直接的な被害に加え、風評被害などから休廃業する旅館やホテルが相次いだ土湯温泉。この危機的状況からまちの復興と振興を目指し、平成24年10月に株式会社元気アップつちゆが設立されました。町内を流れる東鴉川(ひがしからすがわ)を利用した小水力発電事業と、温泉を利用した地熱バイナリー発電事業を復興の柱として、再生可能エネルギーを通した新しいまちづくり事業を展開しています。参加者は土湯温泉バイナリー発電施設を見学し、「元気アップつちゆ」の佐久間さんからバイタリティあふれる起業秘話を伺いました。「知識も技術もゼロからのスタートだった」と当時を振り返ります。
「風評被害に苦しむ福島に住む我々ですから、再生可能エネルギーでまちを元気にしたいと思っていました。バイナリー発電は、発電に使った温泉を温泉街に供給する無駄のないシステム。これにたどり着いたことで、地元からの反対はありませんでした。しかも、地元からの出資や、各方面からの協力もたくさんありました。「元気アップつちゆ」は、いわば発電事業の協同組合。発電した電気は地元で使われるとともに、オニテナガエビの養殖やどぶろく醸造所などの新規事業にも使われています。また、売電による利益も地元の人材育成費等に還元しています。」
参加者からは、『地元の財産である温泉を使った事業で地元に新しい価値を生み出そうという考え方がすばらしい。』『前例のない事業。地元や行政の協力を得るまでの苦労を思うと頭が下がる。』『地産地消エネルギーや売電の利益を地元に還元する仕組みを作り、自走できるまちづくりを進めるプロセスは、大変勉強になった。』という感想が。
その後、温泉街に戻りコミュニティカフェ「おららのコミセ」へ。ここでは、バイナリー発電で生じる温排水を利用して養殖したオニテナガエビの釣り体験が楽しめます。釣ったエビはその場で素焼きにして、美味しくいただきました。
猪苗代湖のほど近くに、猪苗代町の農業と観光の再生を柱として、人の流れや賑わいを取り戻すことを目的とした交流拠点「Roots猪苗代」があります。廃校になった小学校を活用し、旧校舎内には、カフェやアウトドアショップ、校庭脇にはプレーパークを常設し子どもたちがのびのびと遊ぶことができます。また、定期的にワークショップやマルシェなども開催しており、子どもから大人まで様々な世代が交流し楽しむことができる、開かれた交流の場です。
株式会社Roots取締役 長谷川さんにオープンまでの経緯を伺いました。
「廃校の利用については、これまでもさまざまな事業者がチャレンジしたと伺っています。しかし、なかなかうまくいかなかったようです。私たちは行政をはじめ、地域と丁寧な対話を重ね、互いにとってベストな関係性を築き、2020年11月に「Roots猪苗代」をオープンしました。私たちは、猪苗代エリア全体をRootsのフィールドとして活用し、レジャーだけでなく暮らしの一部として楽しめる場所を創っていきたい。」長谷川さんのお話に、参加者も熱心に耳を傾けていました。
参加者からは、『Roots猪苗代をワーケーションの中の交流の拠点と位置づけ、地域で暮らす人たちと訪れた人たちとの交流の場になればおもしろい。』『福島に暮らす方々はとても丁寧な暮らしを大事にしているイメージがある。それがRoots猪苗代の会社理念とも響き合うのだと思う。その暮らしの一部が体験できるような宿泊型の施設が欲しい。』といった意見が出ました。