尾瀬の美しい自然は、たくさんの人々によって支えられています。尾瀬ボランティアの皆さんもそんな方々のひとりです。
皆さんのおかげで尾瀬は美しい景観を維持し、訪れる人々はこの希少な自然への理解を深めています。
今回は尾瀬でのボランティア活動を紹介し、やりがいや想いをお伝えいたします。
※掲載写真は撮影年の記載がないものはすべて令和元年以前の写真です。
※令和3年の写真は撮影時に新型コロナ感染予防対策を実施しています。
ボランティア活動は、大きく分けるとプロテクター(自然保護)的活動、インタープリター(自然解説)的活動の2種類があります。
プロテクターは、さまざまな局面から尾瀬の自然保護に関わる実働的なボランティアです。入山口でのルール・マナー啓発をはじめ、ゴミ拾いや外来植物の除去、シカ柵の設置などを行っています。登山を楽しむついでに道中のゴミを拾うなど、個人でも気軽に行える活動もあります。
プロテクターの活動は尾瀬の自然保護の根幹となるものが多く、皆さんの自発的な取り組みが尾瀬を支えていると言えます。
ボランティアとして一定の経験を積まれた方は、利用者のみなさんに尾瀬の自然をもっとよく知ってもらうための解説活動も行っています。これがインタープリター的な活動です。
尾瀬ボランティアの募集は1996年から始まりました。草創期から参加されている皆さんは当然ご高齢の方が多くなります。
「体力の低下などを理由にリタイアされる方が多くなっています。尾瀬の自然を引き継いでいくため、協働する仲間の輪を保ち続けるためには、尾瀬への想いやボランティアのノウハウについて、世代を超えて継承していくことが大切です。」と、尾瀬ボランティアを管轄する公益財団法人尾瀬保護財団の矢島知佳子さんは、年齢を越えたつながりの大切さを訴えます。
第1回目の募集からボランティア参加されている方にお話をお伺いしました。
登坂重夫さんがボランティアに参加しようと思ったのは50歳頃。いざ参加してみると周囲の人達の知識が深すぎて参加を続けるべきか悩んだこともあったそうです。しかし活動を続けるうちに、そんなボランティア仲間から尾瀬の自然を教わるのが面白くなって友達づきあいに発展していきました。それが長く続いているコツとのことです。
「足腰は弱くなった。でも誘われると出ていこうと思う。昔からの仲間に誘われて体の動く自分を見ていると、尾瀬ボランティアが好きなんだなあと自覚します。入山口の案内など軽い活動なら今後も続けていけるでしょう。」
一方、尾瀬ボランティアをしていた両親に誘われて以来、親子二代で尾瀬ボランティアに携わる油井賢士さんは、尾瀬ボランティアが個人で気軽に始められやすいことをポイントとして挙げられています。
「ボランティアの条件は2年に1回以上参加すること。しかも活動報告をメールかFAXで送ればよいだけ。私は個人登山のついでにごみ拾いの活動をしています。」と油井さんは門戸の広さを強調します。「ごくろうさま。」と声をかけてくれる登山者も多くなり、山でのコミュニケーションが増えたそうです。今後は講習会に参加するなど、もっと深く関わってお話ボランティアなどにも挑戦したいと伺いました。
「ボランティアは自発的に行うもので、報酬はありません。ボランティアの皆さんからお話を伺うと、活動を行う中での、尾瀬を訪れる人とのふれあいやボランティアの仲間同士での交流が、やりがいの一つになっているように思います。皆さん、活動を通じて尾瀬での感動を共有したり、情報交換をしたり、教え合って自分の知識を深く掘り下げられています。当財団としては、これからも、尾瀬を愛し、尾瀬のために活動するボランティアの皆さんとともに、尾瀬の自然環境を守る取組を続けていきます。」と尾瀬保護財団の矢島さん。新型コロナウイルス感染症の影響でここ2年尾瀬ボランティア同士の交流の場を提供できないことに課題を感じているそうです。仲間づくりのきっかけになる交流の場の再開を切に願います。
尾瀬ボランティアの応募は尾瀬保護財団で随時受け付けており、研修を受けた18才以上の方が「尾瀬ボランティア」として登録されます。昨年から、新型コロナウイルス感染症の影響でボランティア登録が例年どおり行えていないのですが、通常は3月までに応募すると、通信研修・現地研修を経て7月頃に正式登録されます。
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