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檜枝岐村I&Uターン生活
地域おこし協力隊で学んだこと文・写真/浅井理人

尾瀬の玄関口の福島県檜枝岐村。
日本屈指の豪雪地帯で積雪は3mを超えることもあります。檜枝岐村は人口は526人(令和3年10月)で人口密度は日本で一番低いと言われ、最寄りの会津鉄道・野岩鉄道「会津高原尾瀬口」駅から約50km、高速道路なら磐越自動車道の会津若松IC.から約110kmも離れた山深い集落です。今回は地域おこし協力隊としてIターン・Uターンで暮らしている方々の生活を紹介いたします。

写真冬の檜枝岐村

檜枝岐村の美しい四季

写真GWに咲く桜と六地蔵

写真盛夏の会津駒ケ岳

写真紅葉の中土合公園

写真雪上運動会

生まれ育った自然豊かな場所での仕事
Uターンのケース

写真星伶児さん

檜枝岐村で生まれ育った星伶児(ほし・れいじ)さん。山形の高校、東京の大学でスキーに打ち込み東京で就職(高校がない檜枝岐村では中学卒業後に親元を離れます)。2019年に地域おこし協力隊として村に戻り、2021年からはキャンプ場を経営されています。

写真星伶児さん

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左上:自然豊かなキャンプ場
右上:趣味の釣りを楽しむ
右下:豪雪のため冬はキャンプ場
右下:を休止。
右下:高齢者住宅の雪降ろしや除雪
右下:作業の仕事をしている。

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東京の鉄道会社で10年ほど勤めたあと、生まれ育った村に戻り自然の中で仕事をしたいと感じた星伶児さん。地域おこし協力隊の制度を利用して檜枝岐村に戻ります。

星伶児さんは地域おこし協力隊になると村観光課に配属され、SNSや動画配信を通じて広報活動を行ってきました。魅力をたくさんの方々に伝えることができたのは、やりがいのある良い経験だったとのこと。

村の広報を行ったことで地域の魅力を改めて強く認識した星伶児さんは、自然を活かした仕事を始めようと2021年からは廃業予定だったキャンプ場を事業承継します。残雪期の早期オープンや、施設の整備など現在のアウトドア需要に合った新しいキャンプ場の経営を模索しながら見通オートキャンプ場の経営者として檜枝岐村で生活をしています。

地域おこし協力隊とは

人口減少や高齢化が進む過疎地域に都市地域から人材を受け入れ、定住、定着を図ることを目的としています。
任期は1年以上3年以下。地域で生活しながら地域協力活動を行っていきます。

写真城健史さん

写真江戸時代から続く檜枝岐歌舞伎

写真豊かな自然が残る尾瀬・大江湿原

自然と歴史文化に惹かれて
Iターンのケース

写真城健史さん

写真江戸時代から続く檜枝岐歌舞伎

写真豊かな自然が残る尾瀬・大江湿原

神奈川県生まれの城健史(じょう・たけし)さん。神奈川県でデザイン関係の仕事をしていましたが、昔から憧れだった田舎暮らしをしようと決意。理想の場所を求め、広島県、北海道での生活を経て檜枝岐村へたどり着きます。檜枝岐村への移住の決め手は自然豊かで伝統芸能の檜枝岐歌舞伎や伝統工芸が残っていること。自然が美しい場所はたくさんありますが、伝統文化が身近に残る場所はなかなか見つからなかったそうです。

写真材料を加工する城さん

写真城さんが作ったまげわっぱ

2015年に地域おこし協力隊で檜枝岐村へ移住。北海道でのカヌーガイドの経験を活かし尾瀬でガイドを始めます。また、伝統文化に惹かれ、曲げわっぱ職人やサンショウウオ漁師にも師事、村に昔から伝わる伝統文化の継承にも尽力されています。

三年間の地域おこし協力隊生活の後も村に住み、曲げわっぱ職人、尾瀬ガイド、サンショウウオ漁師と、季節ごとに複数の仕事をされています。仕事の種類が少ない地域では、自分で仕事を作り出す能力が大切だと取材を通して感じました。

写真材料を加工する城さん

写真城さんが作ったまげわっぱ

インタビュー 移住して城さんが大変だったこと

「檜枝岐村は日本屈指の豪雪地帯ですが、雪は降るものと覚悟を決めて移り住んだので、雪に関する不便さは感じていません。ただ、買い物の不便さは今でも感じています。片道一時間ほどの所まで行かないと物が揃わないからです。

マイペースな性格のおかげで、自然体で村の生活にはスムーズに馴染めていけました。」

檜枝岐村の移住支援

写真星満さん

IターンやUターン移住に関する取り組みを檜枝岐村総務課の星満(ほし・みつる)さんにお話を伺いました。

「移住することができないと誤解されている檜枝岐村ですが、積極的に移住者を受け入れています。2021年から総務課に専任担当者を配置し、村への移住の相談や助成金の支援などを行っています。移住をご検討されている方はお問い合わせください。2022年度からは移住に関する補助金の新設も予定されています」と星満さんは檜枝岐村への移住を呼びかけていました。

写真星満さん

移住支援策

お試し移住

豪雪地帯のため夏と冬の生活は一変します。特に冬の雪の量には驚くかもしれません。事前に村内の宿泊施設に滞在するお試し移住の費用を補助しています。

子育て支援

子育てに関する支援も充実しています。人口の少ない檜枝岐村だからこそできる支援がたくさんあり、児童館の使用無料や給食費九割補助など子育てしやすい環境になるよう手厚い支援を行っています。

事業支援

設備投資に関する支援や人材育成、広告事業に関する支援があります。檜枝岐村ならではの支援、ガイド支援事業の補助金や狩猟免許取得補助などもあります。起業を推進する環境が整っています。

住居について

谷あいの村で居住地域が狭いため土地が限られています。まずは村営住居への入居をオススメしております。

地域おこし協力隊

檜枝岐の魅力を活かした仕事を始めるため地域おこし協力隊の制度があります。村では随時協力隊員を募集しております。

写真檜枝岐村移住支援サイト「檜枝岐暮らし」 URL:https://hinoemata.info/iju/

写真村営住宅 見通ハイツ 外観

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編集後記

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今回取材を担当しました尾瀬マウンテンガイドの浅井と申します。私自身も尾瀬に惹かれて5年前に檜枝岐村に移住してきました。雪が多かったり病院が遠かったりなど多少の不便はありますが、登山ガイドとしてはこれ以上にない恵まれた環境だと思っています。毎日山に囲まれて暮らせるのはとても幸せなことです。また、檜枝岐村からの生活に関する支援も多く、住んでみると大変暮らしやすいです。尾瀬や自然が好きな方はぜひぜひ移住をご検討ください。

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